私はこれまで、株式や投資信託を中心に資産運用をしてきました。
その一方で最近考えるようになったのが、「資産を増やすためのお金」と「できるだけ減らしたくないお金」を分ける必要性です。
株式は長期的な資産形成には魅力がありますが、当然ながら大きく値下がりすることもあります。
では、安全資産として現金を持っておけばいいのか。
数年前までなら、それでもよかったと思います。しかし、日本の金利環境が大きく変わり、個人向け国債でもある程度の利息を受け取れるようになってきました。
そこで今回、私はSBI証券で実際に、
第198回 個人向け利付国債(変動・10年)を30万円購入しました。

初回適用利率は、なんと年1.95%(税引前)です。財務省によると税引後では年1.5538575%となります。
なぜ今、個人向け国債なのか。
そして、現在は固定5年の金利が2.24%と変動10年より高いにもかかわらず、なぜ私はまず「変動10年」を選んだのか。
今回は実際に購入した経験をもとに考えてみます。
個人向け国債「変動10年」とは?
個人向け国債は、国が個人投資家向けに発行している国債です。
現在は、
変動10年・固定5年・固定3年
の3種類があります。
今回購入した「変動10年」は、その名前のとおり満期が10年で、半年ごとに適用金利が見直される商品です。財務省によると、適用利率は「基準金利×0.66」で計算され、最低でも年0.05%が保証されています。
そして大きな特徴が、実勢金利が変化しても元本部分の価格が変動しないことです。
満期には額面100円につき100円で償還されます。
株式や通常の債券のように、「市場価格が下がったので元本が80万円になった」という値動きを基本的に考える必要がありません。
今回、SBI証券で30万円購入
今回私が購入したのはこちらです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 商品 | 第198回 個人向け国債・変動10年 |
| 購入額 | 30万円 |
| 初回適用金利 | 年1.95% |
| 税引後金利 | 年1.5538575% |
| 満期 | 2036年10月15日 |
| 金利見直し | 半年ごと |
財務省が公表している2026年9月募集分も、変動10年1.95%、固定5年2.24%、固定3年1.96%となっています。
30万円ですから、仮に1.95%が1年間続いたとすると、
30万円 × 1.95%=5,850円(税引前)
税引後では年間約4,662円です。
もちろん大きな金額ではありません。
しかし私が今回重視したのは、「30万円でいくら儲かるか」ではありません。
株式とは違う値動きをする、安全資産の置き場所を作ることです。
今回はまず30万円から始めましたが、今後の金利動向を見ながら追加購入も検討しています。
なぜ今、個人向け国債を買ったのか

最大の理由は、個人向け国債を取り巻く金利環境が数年前とは明らかに変わったからです。
以前の私は、個人向け国債に対して、
「元本は安全だけれど、金利が低すぎる」
という印象を持っていました。
実際、低金利時代には変動10年の適用金利が最低保証の**0.05%**近辺になる時期もありました。
ところが現在は1.95%です。
100万円で比較すると(いずれも税引前)、
0.05% → 年500円
だったものが、
1.95% → 年19,500円
になります。
同じ個人向け国債でも、金利水準によって商品の魅力は大きく変わります。
個人向け国債の金利上昇は、株式市場にとっては必ずしもプラスとは限りません。金利上昇が日本株にどのような影響を与えるのかについては、こちらの記事で詳しく考えています。
▶関連記事
過去5年で個人向け国債の魅力は大きく変わった
財務省では変動10年の発行条件を毎月公表しており、2021年から2026年までの各回も確認できます。
ざっくりと流れを見ると、
2021~2022年:超低金利
↓
2023~2024年:金利上昇が始まる
↓
2025年:1%台へ
↓
2026年9月:1.95%
と、数年間で状況が大きく変わっています。
例えば2025年12月募集の変動10年でも、初回適用金利は1.23%でした。
それが今回購入した2026年9月募集分では1.95%です。
つまり、わずかな期間でも個人向け国債の金利環境は大きく変化しています。
これを見て私は、
「現金の一部を国債へ移してもいい水準になってきたのではないか」
と考えました。
では、なぜ金利2.24%の「固定5年」を買わなかったのか?
ここは今回かなり迷ったところです。
2026年9月募集分を見ると、
| 変動10年 | 固定5年 | |
|---|---|---|
| 金利 | 1.95% | 2.24% |
| 金利タイプ | 半年ごとに変動 | 5年間固定 |
| 満期 | 10年 | 5年 |
| 金利上昇時 | ○ | × |
| 金利低下時 | × | ○ |
現在の金利だけを見れば、固定5年の2.24%の方が高いのです。
それでも最初の30万円を変動10年にした理由は、今後さらに日本の金利が上昇する可能性を考えたからです。
変動10年なら、金利上昇についていける

例えば今後、
1.95%
↓
2.2%
↓
2.5%
と適用金利が上昇すれば、変動10年なら半年ごとの見直しによって受取利息も増えていきます。
一方、固定5年を2.24%で購入すれば、その後市場金利が3%になっても、購入済みの固定5年は2.24%のままです。
反対に金利が1%まで低下した場合は、2.24%を5年間確保している固定5年が有利になります。
つまり、
金利上昇に強い → 変動10年
金利低下に強い → 固定5年
という関係です。
今回私は、金利がまだ上昇する可能性を考え、まず変動10年を購入しました。
国債や債券の仕組みをもう少し詳しく知りたい方へ
今回、実際に個人向け国債を購入してみて、金利と債券価格の関係や、国債が金融市場で果たしている役割についても改めて勉強する必要があると感じました。国債・債券の基本から学びたい方は、こうした入門書を一冊読んでおくと、ニュースで「長期金利上昇」と聞いたときにも理解しやすくなります。
👉 『債券と国債のしくみがわかる本』をAmazonで見る
「10年」という名前だが、必ず10年間持つ必要はない
私自身、最初はここを誤解していました。
「変動10年」という名前を見ると、
10年間資金が拘束されるのでは?
と思ってしまいます。
しかし個人向け国債は、原則として発行から1年経過後であれば1万円単位で中途換金できます。
ただし、中途換金すると、
直前2回分の各利子(税引前)相当額×0.79685
が中途換金調整額として差し引かれます。
つまり「解約手数料」というより、直近約1年分の利息を返すような仕組みと考えると分かりやすいでしょう。
そのため私は、
基本は長期保有。ただし必要になれば1年後から換金できる安全資産
という位置づけで考えています。
個人向け国債にもデメリットはある
もちろん、個人向け国債が万能というわけではありません。
特に注意したいのは、インフレには必ずしも強くないことです。
例えば物価が年間3%上昇しているのに国債金利が1.95%なら、数字上は資産が増えても実質的な購買力は低下します。
また株式なら企業の成長によって大きな値上がり益を得られる可能性がありますが、個人向け国債にそのようなキャピタルゲインは基本的に期待できません。
そのため私は、
「株式の代わり」ではなく「現金の一部の置き場所」
として考えています。
今回30万円から始めた理由
今回いきなり数百万円を投入しなかったのにも理由があります。
今後さらに金利が上昇する可能性があるからです。
個人向け国債は毎月発行されています。
そのため、
今月30万円
→ 金利環境を見る
→ 数カ月後に追加購入
という方法も取れます。
今回の30万円は、私にとって個人向け国債への最初の一歩という位置づけです。
私自身、資産運用では株式だけでなく「守る資産」をどう組み合わせるかが重要だと考えるようになりました。世界最大級の機関投資家であるGPIFも、株式だけではなく国内債券・外国債券を組み合わせて運用しています。
▶関連記事:GPIF・世界の年金マネーが株式市場を支える?暴落からの回復が早くなる理由
次に気になったのが「固定5年」と「米国債」

実際に変動10年を購入してみると、さらに疑問が出てきました。
まず、
「固定5年2.24%もかなり魅力的なのでは?」
ということです。
仮にこれから3年間金利が上昇し、その後景気悪化などによって金利が低下するのであれば、変動10年と固定5年を両方保有する方法も考えられます。
そしてもう一つ気になったのが米国債です。
米国債は日本国債より高い利回りが期待できる一方、円で生活する日本人には為替リスクがあります。
ただ、私は米国ETFも保有しています。
そこで、
「保有している米国ETFを一部ドルで売却して、そのドルで米国債を買えばどうだろう?」
さらに、
「米国債の満期で戻ってきたドルを円に戻さず、将来の海外旅行などでドルのまま使えばどうだろう?」
というところまで考えが広がりました。
このあたりは非常に面白いので、別の記事で詳しく検討したいと思います。
まとめ|個人向け国債が「検討する価値のある商品」になってきた
数年前まで、私は個人向け国債を積極的な投資対象として考えていませんでした。
しかし金利環境は変わりました。
2026年9月現在、個人向け国債は、
変動10年:1.95%
固定5年:2.24%
固定3年:1.96%
という水準です。
そこで今回、私はまず変動10年を30万円購入しました。
目的は大きな利益を狙うことではありません。
株式などのリスク資産とは別に、元本を守りながら利息を受け取れる資産を持つこと。
そして今後さらに金利が上昇した場合には、その上昇を半年ごとに取り込める可能性があること。
この2点を評価しました。
今後は変動10年だけでなく、固定5年との組み合わせや米国債への投資についても実際に検討していきたいと思います。
資産運用というと「何を買えば一番儲かるのか」に目が向きがちですが、年齢や資産状況が変われば、「増やす資産」と「守る資産」をどう組み合わせるかも重要になってくると感じています。
今回の個人向け国債購入は、そのことを改めて考えるきっかけになりました。
次回は「変動10年と固定5年、今買うならどちら?」を実際の金利で比較します。
※本記事は筆者自身の投資経験・考えを紹介するもので、特定の金融商品の購入を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。




コメント