ここ数年、資産運用といえば「株式投資」が中心でした。
S&P500、オルカン、日本株、そしてAI・半導体関連株。
私自身も資産形成を考える中で、株式への投資は非常に重要だと考えてきました。
しかし、最近の金利の動きを見ていると、少し考え方を変える必要があるのではないかと感じています。
日本では金利の正常化が進み、米国では長期金利が5%近辺まで上昇。欧州でもインフレへの警戒から追加利上げが意識されています。
もしかすると私たちは、
「低金利だから株を買う時代」から「金利を見ながら資産配分を考える時代」
への転換点にいるのかもしれません。
世界で再び「金利」が意識され始めた

最近の金利環境を大きく整理すると、次のようになります。
| 地域 | 金利をめぐる状況 | 背景 |
|---|---|---|
| 日本 | 金利正常化が進む | 物価・賃金上昇 |
| 米国 | 長期金利5%近辺 | インフレ・原油高・財政問題 |
| 欧州 | 追加利上げ観測 | 根強いインフレ |
少し前まで市場では、
「インフレはいずれ収まる」
「中央銀行は利下げに向かう」
「金利低下は株式に追い風」
という期待がかなり強かったと思います。
ところが、インフレは簡単には消えていません。
ここで考えてみたいのが、私たち個人の資産運用も低金利時代の延長線上で考えていてよいのかという問題です。
ここ数年の「株一辺倒」は正解だった
まず誤解のないように書いておきたいのですが、これまで株式を中心に資産形成してきたこと自体が間違いだったとは思いません。
世界経済は成長し、米国株を中心に株式市場は大きく上昇しました。
特にAIという巨大な成長テーマが登場し、企業利益の拡大期待もあります。
低金利環境では債券や預金の魅力が乏しかったため、
「長期なら株式を中心に運用する」
という考え方には合理性がありました。
問題は、これからも同じ考え方だけでよいのかです。
金利5%なら株式の見え方が変わる
例えば、安全性の高い債券から十分な利回りを得られるようになると、投資家の判断は変わります。
極端に単純化すると、
「大きく値下がりする可能性のある株式を買わなくても、債券である程度の利回りが得られる」
という選択肢が生まれるからです。
金利がほぼゼロだった時代には、預金や債券に資金を置いていてもほとんど増えませんでした。
そのため株式を保有する意味が非常に大きかった。
しかし金利が上昇すると、
株式・債券・預金の相対的な魅力が変化します。
これは資産運用を考える上で非常に重要な変化です。
では株を減らせばいいのか?
ここが難しいところです。
私は「高金利になったから株式を売って国債に移せばよい」という単純な話ではないと思っています。
なぜなら、高金利の背景には強い経済成長や旺盛な資金需要が存在する場合もあるからです。
企業がAI、半導体、データセンター、電力網、工場などに巨額の投資を行えば、大量の資金が必要になります。
政府にもインフラ、防衛、エネルギーなど多くの資金需要があります。
つまり、
資金需要が強い
→ 金利が高くなる
→ しかし同時に企業投資も活発になる
という状況は十分考えられます。
高金利だから必ず株安になるわけではありません。
むしろ金利上昇を乗り越えて利益を伸ばせる企業には、これまで以上に資金が集まる可能性があります。
「金利が高い=株はダメ」ではない
重要なのは企業の稼ぐ力です。
例えば金利が上昇しても、それ以上のペースで利益を伸ばせる企業であれば、株価が上昇する可能性があります。
反対に、借入金が多く、利益率が低く、価格転嫁もできない企業には厳しい環境になります。
これからは、
「何でも株を買えば上がる」から「金利を上回る成長力を持つ企業を選ぶ」
ことが、より重要になってくるのではないでしょうか。
高金利だからといって、株式の成長力がなくなるわけではありません。AI投資と金利、日本株の関係についてはこちらの記事でも考察しています。

金利だけを見ると米国債も魅力的ですが、私たち日本人には為替リスクがあります。日本国債と米国債の違いはこちらの記事で整理しました。

変動10年の個人向け国債を買うのは正解?
私は最近、個人向け国債の「変動10年」にも注目しています。
変動10年の特徴は、市場金利の動きを反映して適用金利が半年ごとに見直されることです。
つまり今後、日本の金利がさらに上昇すれば、受け取れる利息も増える可能性があります。
さらに、国が元本と利払いを行う仕組みで、一定期間経過後は中途換金制度もあります。
株式のような大きな値上がり益は期待できませんが、
「守るお金の置き場所」
としては、低金利時代より魅力が高まっています。
その意味では、金利上昇局面で変動10年国債を資産の一部に組み入れることは、私は合理的な選択肢だと考えています。
ただし「今後必ず金利が上がる」という前提で全額を国債にするのも違います。
あくまで株式・現金・国債などを組み合わせることが重要です。
私自身、金利上昇局面で「変動10年」と「固定5年」のどちらを選ぶべきか迷いました。両者の違いについては、こちらの記事で詳しく比較しています。

高金利時代は「分散」の意味も変わる
低金利時代には、
現金=増えない資産
というイメージがありました。
ところが金利が上がれば状況は変わります。
預金金利も上昇し、個人向け国債の利回りも上昇します。
すると例えば、
株式=成長を取りに行く資産
国債=金利を受け取りながら守る資産
現金=生活防衛+投資機会に備える資産
という役割分担がしやすくなります。
「株式か現金か」という二択ではなくなってきます。
私自身、「見るべき数字」が変わってきた
これまで私は資産運用をするうえで、日経平均、TOPIX、ドル円相場をほぼ毎日のように確認してきました。この数字は直接私の資産額に影響を与える数字だったからです。
今日は日経平均が上がったのか下がったのか。TOPIXはどう動いたのか。円高なのか円安なのか。
これらは日本株を運用するうえで分かりやすく、自然と目が向く数字でした。
一方で、それほど重視してこなかったものがあります。
金利です。
日本では長い間、超低金利が続いてきました。
政策金利や国債利回りを見ても大きく動かない時期が長く、「金利を毎日確認しても、それほど資産運用には影響しない」という感覚が私の中にもありました。
債券価格についても、株価ほど身近な数字ではありませんでした。
しかし、今はその考え方を変えなければならないと感じています。
これからは株価だけでなく「金利」も見る
今後、私が確認していきたいのは、
- 日銀の政策金利
- 日本10年国債利回り
- 米国10年国債利回り
- 個人向け国債の適用金利
- 債券価格の動き
- 日経平均・TOPIX
- ドル円相場
などです。
特に重要だと感じるのが、「金利が上がると債券価格は下がる」という関係と、金利が株式の評価にも影響することです。
これまでは「日経平均が今日は500円上がった」といった株価の動きに目が向きがちでした。
しかしこれからは、
「なぜ株が動いたのか。その背景で金利はどう動いているのか」
まで見る必要がありそうです。
例えば米国の長期金利が大きく上昇すれば、米国株だけでなく日本株にも影響します。
金利上昇によって高PERの成長株が売られることもあれば、銀行や保険などには追い風になる場合もあります。
ドル円相場にも日米の金利差が大きく関係します。
つまり、これまで別々に見ていた
株価・為替・金利・債券
は、本来すべてつながっています。
変動10年国債を考えたことで、金利が「自分事」になった
私自身、個人向け国債の変動10年を購入候補として具体的に考えるようになったことも、金利を見るきっかけになりました。
金利が上昇すれば、変動10年の適用金利にも反映されていきます。
そうなると、
「日銀は次にいつ利上げするのか」
「10年国債利回りはどう動いているのか」
といったニュースが、自分の資産運用と直接つながってきます。
株価だけを見ていた時とは、資産運用を見る視点そのものが少し変わってきたように思います。
「株価を見る投資」から「お金の値段を見る投資」へ
金利とは、簡単にいえば「お金を借りるための値段」でもあります。
その金利が大きく動く時代になれば、企業の資金調達、住宅ローン、為替、国債、株式のバリュエーションまで影響を受けます。
そう考えると、日経平均だけを追いかけていても、市場全体を理解するには十分ではありません。
これからの私自身の資産運用では、
日経平均・TOPIX・ドル円を見る習慣に、「金利と国債利回りを見る習慣」を加える。
これも高金利時代へのマインド転換の一つだと思っています。
金利や債券をもう少し詳しく知りたい方へ
私自身、これまでは株価や為替を中心に見てきましたが、高金利時代では金利と債券の基本も理解しておく必要があると感じています。金利と債券価格の関係を体系的に学びたい方には、『本当にわかる債券と金利』のような入門書も参考になります。
👉 『本当にわかる債券と金利』をAmazonで見る
※当サイトはAmazonアソシエイト・プログラムの参加者です。上記リンクから商品を購入された場合、当サイトに紹介料が入ることがあります。購入者の負担が増えることはありません。
家計もマインドを転換する必要がある
そして金利上昇は、投資家だけの問題ではありません。
むしろ影響が大きいのは一般家庭かもしれません。
住宅ローン、自動車ローン、教育ローン、企業融資など、社会のさまざまなところで金利が効いてきます。
これまでの日本では、
「お金を借りても金利は非常に低い」
ことが当たり前になっていました。
しかし今後もそうとは限りません。
例えば3,000万円の住宅ローンでは、金利が1%違うだけでも長期間では大きな負担差になります。
一方、預金や国債を保有する側にとって金利上昇はプラスです。
つまりこれからは、
「借りる人には金利上昇が負担、貯めて貸す側には金利上昇が収益」
という本来の金融の姿が、家計にもはっきり見えるようになってきます。
「金利ゼロ」の感覚を引きずらない
日本ではあまりにも長く低金利が続きました。
そのため、
「預金しても増えない」
「国債を買っても意味がない」
「住宅ローンは低金利が当然」
「資産形成なら株式」
という感覚が定着しています。
しかし環境が変われば、正解も変わります。
これから必要なのは、
株式投資をやめることではなく、「金利を考えない資産運用」をやめること
ではないでしょうか。
それでも株式の成長力は捨てられない
私は高金利時代になっても、株式の重要性そのものは変わらないと思っています。
AI、半導体、ロボット、データセンター、電力、防衛、インフラなど、世界では巨額の設備投資が始まっています。
人口減少が進む日本でも、人手不足を補うための省力化投資やDX投資は避けられません。
こうした投資が生産性を向上させ、新しい利益を生み出せば、企業価値も高まります。
だからこそ、
「株か国債か」ではなく「成長を取りながら、金利も取る」
という発想が重要になってくると思います。
まとめ|高金利時代は「株をやめる」のではなく「選択肢を増やす」
世界的に金利環境が変わり始めています。
これまで株式中心の資産形成がうまくいったからといって、今後も同じ資産配分が最適とは限りません。
かといって、高金利になったから株式をすべて売却する必要もありません。
私が今後意識したいのは、
「株式で成長を取りにいき、国債で金利を取り、現金で余裕を持つ」
という考え方です。
変動10年の個人向け国債も、その中の一つの選択肢です。
そして家計についても、「金利はほぼゼロ」という前提をそろそろ見直す必要があります。
低金利時代の成功体験をそのまま持ち続けるのではなく、金利のある時代に合わせて資産運用と家計のマインドを変える。
これが、これから数年間の資産形成を考えるうえで大切なテーマになるのではないでしょうか。
参考資料・公式サイト
個人向け国債には「変動10年」「固定5年」「固定3年」があります。詳しい商品内容は、財務省の「個人向け国債」公式ページで確認できます。
財務省「個人向け国債」
私自身、これからは日経平均やドル円だけでなく、日本国債の利回りも定期的に確認していきたいと考えています。国債金利は財務省の公式ページでも確認できます。
財務省「国債金利情報」
日本の金利を考えるうえでは、日銀の金融政策も欠かせません。政策変更については日本銀行の公式情報を確認するようにしています。
日本銀行「金融政策に関する決定事項」


コメント