前回の記事では、個人向け国債の「変動10年」と「固定5年」を比較しました。
日本の個人向け国債については、変動10年と固定5年を100万円・5年間でシミュレーションしています。金利上昇・横ばい・低下の3ケースで比較しました。
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2026年9月募集分の金利は、
変動10年:1.95%
固定5年:2.24%
です。
数年前の超低金利時代を考えれば、日本の個人向け国債もかなり魅力的になってきました。
しかし、国債について調べていると、どうしても気になるものがあります。
それが米国債です。
2026年9月9日時点で米財務省が公表している米国債の指標利回りを見ると、
| 期間 | 米国債の指標利回り |
|---|---|
| 1年 | 4.17% |
| 2年 | 4.43% |
| 3年 | 4.49% |
| 5年 | 4.61% |
| 10年 | 4.83% |
| 20年 | 5.28% |
| 30年 | 5.28% |
となっています。
日本の個人向け国債と比べると、かなり高い水準です。
すると当然、
「それなら日本国債ではなく、米国債を買った方がいいのでは?」
という疑問が出てきます。
今回は、日本国債と米国債を「金利」だけではなく、為替・満期・価格変動・実際のお金の使い道まで含めて考えてみます。
日本国債と米国債、金利だけなら米国債が圧倒的

まず単純に金利を比較します。
2026年9月時点では、日本の個人向け国債「変動10年」の初回適用利率が1.95%、固定5年が2.24%です。
一方、9月9日時点の米国債の指標利回りは5年4.61%、10年4.83%です。
100万円相当を運用すると考えれば、利回りの差は無視できません。
ただし、ここで注意したいのが、米財務省が公表する指標利回りと、証券会社で実際に購入できる個別の米国債の利回りは同じではないことです。
米国債は残存期間、表面利率、購入価格などによって最終的な利回りが変わります。
したがって、実際に購入するときには証券会社の画面に表示される「利回り」「償還日」「購入単価」を確認する必要があります。
日本国債と米国債は「安全資産」でも性格が違う
日本国債も米国債も、それぞれ日本政府・米国政府が発行する債券です。
しかし、日本で生活する私たちにとっては大きな違いがあります。
それが通貨です。
日本国債は円で購入し、利息も償還金も円で受け取ります。
一方、米国債は基本的にドル建てです。
つまり、日本円から米国債へ投資する場合、
円 → ドル → 米国債 → ドル → 円
という流れになります。
この途中で円とドルの為替レートが変わるため、米国債そのものから予定通りのドルを受け取ったとしても、円換算した投資成果は変わります。
ここが米国債を考えるうえで非常に重要です。
米国債4%台でも「円高」になれば利益が消えることがある
分かりやすく単純化して考えてみます。
仮に、
1ドル=150円
のときに150万円をドルへ交換すると、
10,000ドル
です。
この10,000ドルを年4.5%程度で運用したとします。
単純化して1年後に10,450ドルになったとしましょう。
ドルでは450ドル増えています。
ところが、その時に為替が、
1ドル=130円
まで円高になっていたら、
10,450ドル×130円
=1,358,500円
です。
ドルでは増えているのに、円換算すると元の150万円を下回ります。
逆に、
1ドル=170円
まで円安になれば、
10,450ドル×170円
=1,776,500円
になります。
同じ米国債を持っていても、円換算した結果は大きく違います。
つまり、
「米国債は4~5%あるから、日本国債より必ず得」
とは言えません。
では米国債の為替リスクをどう考える?

ここで私が考えたのが、
「そもそもドルを円に戻す必要があるのか?」
ということです。
例えば米国株や米国ETFを売却してドルを保有している場合です。
すでに持っているドルを、
米国ETF売却
↓
ドルで受け取る
↓
そのドルで米国債を購入
↓
利息もドルで受け取る
↓
満期償還金もドルで受け取る
という形にすれば、途中で円に戻す必要がありません。
SBI証券でも、外貨を買付余力として外貨建商品を取引できる仕組みがあります。
これは私にとって、米国債を考えるうえで大きなポイントになりました。
「円に戻さない=為替リスクゼロ」ではない
ただし、ここは誤解しないようにしたいところです。
ドルのまま運用すれば、
為替リスクがなくなるわけではありません。
資産を円換算すれば、円高になれば評価額は下がります。
そして将来、日本での生活費として使うために円へ戻すのであれば、その時点の為替レートの影響を受けます。
したがって正確には、
「円転せずドルのまま使えば、円ドルの為替変動を円換算した損益として意識する場面を減らせる」
と考えた方がよいでしょう。
将来ドルで使う予定があるなら意味が変わる
ここからが今回、私が米国債に興味を持った理由です。
仮に将来、
ハワイ旅行
アメリカでの買い物
海外サービスの支払い
など、ドルでお金を使う予定があるとします。
そのためのお金なら、
ドル → 円 → ドル
とわざわざ交換する必要はありません。
例えば米国債の満期で10,000ドルを受け取ったとして、その10,000ドルを将来のドル支出に使うのであれば、
「10,000ドルをいくらの円に換えられるか」より、「10,000ドルで何が買えるか」
という視点になります。
ここまで考えると、米国債の位置付けが少し変わってきます。
SBI証券なら米ドルを外貨のまま銀行へ出金できる
SBI証券の場合、外貨出金先としてSBI新生銀行またはドコモSMTBネット銀行を登録しておけば、米ドルを外貨のまま出金できます。
SBI証券によると、外貨出金手数料は無料です。
つまり一例として、
米国ETF
↓
ドルで売却
↓
米国債を購入
↓
米国債の利息・償還金をドルで受取
↓
SBI証券から銀行の外貨預金へ
↓
ドル資産として保有・利用
という流れを作れます。
私が面白いと思ったのはここです。
日本国債を「円の守る資産」とするなら、米国債は「ドルの守る資産」として考えることもできます。
それでも私は日本国債を不要とは考えない
米国債の利回りを見ると、
「日本国債は1~2%台だから魅力がない」
と思ってしまいそうになります。
しかし、私はそうは考えていません。
なぜなら、日本で生活している以上、生活費の大部分は円だからです。
日本国債なら、
為替を考えなくてよい
満期時の受取額が円で分かりやすい
個人向け国債なら発行1年後から中途換金できる
という大きなメリットがあります。
2026年9月募集分の個人向け国債は額面100円につき100円で発行・償還され、発行1年後から国による中途換金が可能です。
「円で使う予定のお金」を守るのであれば、日本国債の分かりやすさは非常に大きいと思います。
私自身は、安全資産について考える中で、まずSBI証券で個人向け国債「変動10年」を30万円購入しました。実際の購入理由や金利推移については、こちらの記事で詳しく紹介しています。
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私なら「日本国債か米国債か」ではなく役割を分ける
今回調べてみて、私はこの2つを競わせる必要はないと感じました。
| 目的 | 選択肢 |
|---|---|
| 数年以内に円で使うお金 | 現金・日本国債 |
| 円建ての安全資産を増やしたい | 個人向け国債 |
| すでに保有しているドルを運用したい | 米国債 |
| 将来ドルで使う可能性がある | 米国債・ドル預金など |
| 高い利回りを狙いたい | 米国債も候補。ただし為替リスクあり |
つまり、
円で使うお金 → 円で守る
ドルで使う可能性があるお金 → ドルで守る
という考え方です。
これは第1弾で書いた、
「増やす資産」と「守る資産」をどう組み合わせるか
という考え方にもつながります。
米国債は「表面利率」ではなく「利回り」を見る
米国債を実際に購入するときに、もう一つ注意したいことがあります。
それが、
表面利率(クーポン)だけで比較しない
ことです。
既発の米国債は、額面100に対して100より高い価格で取引されることもあれば、100より安く取引されることもあります。
例えば表面利率が5%でも、105で購入して満期に100で償還されるのであれば、その5円分も考慮する必要があります。
逆に95で購入して満期に100で償還されれば、その差も収益になります。
そのため、実際の商品選びでは、
「利率が何%か」ではなく、「満期まで持った場合の利回りが何%か」
を見ることが重要です。
これは日本の個人向け国債とは少し違うところです。
基本から整理したい方は、債券や金利を扱った入門書を1冊読んでおくと、証券会社の商品画面もかなり理解しやすくなると思います。
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※当サイトはAmazonアソシエイト・プログラムの参加者です。上記リンクから商品を購入された場合、当サイトに紹介料が入ることがあります。購入者の負担が増えることはありません。
米国債は何年を選ぶ?
米国債には短期から30年までさまざまな期間があります。
2026年9月9日の米財務省の指標利回りでは、3年4.49%、5年4.61%、10年4.83%、30年5.28%でした。
「30年が5.28%なら30年が一番いい」と考えたくなります。
しかし、期間が長くなるほど、途中売却する場合の価格は金利変動の影響を受けやすくなります。
そのため私は、単純に最も利回りが高いものを選ぶのではなく、
「いつ使う可能性があるドルなのか」
から満期を考える方がよいと思っています。
例えば5年後に使う可能性があるドルなら、30年債より5年前後の米国債の方が資金計画を立てやすくなります。
日本国債と米国債、100万円ならどれくらい違う?
かなり単純化して比較してみます。
100万円相当を5年間運用すると仮定します。
日本の固定5年は現在2.24%です。
単純計算では、
100万円×2.24%×5年
=112,000円(税引前)
です。
一方、仮に米国債を4.6%程度の利回りで5年間保有したと単純化すると、
100万円相当×4.6%×5年
=約230,000円相当
となります。
差は約118,000円です。
一見すると米国債が圧倒的です。
しかし、この比較には5年後の為替レートが入っていません。
円高になれば円換算した米国債の価値は下がり、円安なら上がります。
したがって、
利回り差だけで約12万円有利だから米国債
という判断はできません。
ここが日本国債と米国債を比較するときの最大のポイントだと思います。
※税金、購入価格、利払いの再投資などを考慮しない単純比較です。米国債4.6%は説明用の概算で、実際の購入利回りではありません。
国債の金利上昇は、債券だけの話ではありません。金利が上がれば株式のバリュエーションにも影響します。以前の記事では、「日本株は金利4%に耐えられるのか?」という視点から、株式と金利の関係について考えました。
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まとめ|「何%か」より「何のためのお金か」
今回、日本国債と米国債を比較してみて改めて感じたのは、利回りだけで投資先を決めるのは難しいということです。
日本の個人向け国債は1~2%台。
米国債は現在4%台を中心とする水準です。
金利だけなら米国債に魅力があります。
しかし、日本で生活するための円資産なら、為替リスクのない日本国債には大きな意味があります。
一方、すでに保有しているドルや将来ドルで使う予定のお金なら、円に戻さず米国債で運用するという考え方もできます。
私自身は、
株式などで「増やす資産」
日本国債で「円を守る資産」
米国債で「ドルを守る資産」
と役割を分けて考える方法に魅力を感じています。
今回、個人向け国債を実際に購入したことをきっかけに、「安全資産=現金だけではない」ということを改めて考えるようになりました。
次は、実際にSBI証券で購入できる米国債を見ながら、「3年・5年・10年のどれを選ぶか」「表面利率と利回りは何が違うのか」を比較してみたいと思います。
※本記事は筆者自身の投資経験・考えを紹介するもので、特定の金融商品の購入を推奨するものではありません。米国債には為替変動リスクや価格変動リスクなどがあります。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。
参考資料・公式サイト
個人向け国債の最新の募集条件や適用金利については、財務省の公式サイトで確認できます。
財務省|現在募集中の個人向け国債
米国債の市場金利は日々変動します。最新の米国債利回りは、米国財務省が公表しているデータで確認できます。
U.S. Department of the Treasury|Daily Treasury Par Yield Curve Rates
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SBI証券|外貨出金について





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