AI・半導体関連株というと、NVIDIAや東京エレクトロン、アドバンテストなどを思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。
しかし、最近私が注目しているのがレゾナック・ホールディングス(4004)です。
レゾナックという名前だけを見ると、
「化学メーカーでは?」
と思う方も多いと思います。
実際、旧昭和電工を母体とする企業ですが、現在のレゾナックは大きく変わろうとしています。
目指しているのは、
「総合化学メーカー」から「世界トップクラスの半導体・電子材料メーカー」への転身
です。
特に生成AIの普及によって重要性が高まっている半導体の後工程・先端パッケージ材料に強みがあります。
今回は、
- レゾナックは何をしている会社なのか
- なぜAI半導体関連銘柄として注目されるのか
- 最新業績
- 今後の成長性
- PER・PBRなどのバリュエーション
- 株価水準
- アナリスト予想
- 投資する場合のリスク
- 今から買える株なのか
について、投資初心者の視点から整理してみます。
※本記事は特定銘柄の購入を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。
レゾナックとは?

レゾナック・ホールディングスは、旧昭和電工と旧昭和電工マテリアルズ(旧日立化成)の統合によって誕生しました。
この統合が現在のレゾナックを理解する重要なポイントです。
旧昭和電工は化学素材などに強みを持ち、一方の旧日立化成は半導体の後工程材料などで高い競争力を持っていました。
両社の技術を組み合わせ、
半導体・電子材料を成長の中心に据える
というのが現在のレゾナックの戦略です。
レゾナックは半導体材料について、
- 前工程材料
- 後工程材料
の両方を手掛けています。
代表的な製品には、
前工程
- 高純度半導体ガス
- CMPスラリー
後工程
- 銅張積層板
- エポキシ樹脂封止材
- ダイボンディング材料
- 感光性フィルム
などがあります。
なぜAI時代にレゾナックが注目されるのか?
ここを理解するには、半導体業界の変化を見る必要があります。
これまで半導体の性能向上では、
回路をどれだけ細かくできるか
という「微細化」が非常に重要でした。
ところが微細化は年々難しくなり、製造コストも上昇しています。
そこで重要になっているのが、
「複数の半導体を組み合わせて性能を上げる」
という技術です。
例えばAI半導体では、
GPU+HBM(高帯域メモリ)
などを非常に近い場所に配置して、高速にデータをやり取りします。
そこで重要になるのが、
先端パッケージ
です。
NVIDIAのAI半導体とレゾナックの関係
半導体業界全体の流れを簡単にすると、
NVIDIA
AI半導体を設計
↓
東京エレクトロンなど
半導体製造装置を供給
↓
TSMCなど
実際に半導体を製造
↓
ディスコ
ウェハーを削る・切る
↓
アドバンテスト
半導体を検査
↓
レゾナック
先端パッケージなどに必要な材料を供給
↓
AIサーバー・データセンター
という関係になります。
つまりレゾナックは、
NVIDIAのように半導体を設計する会社でも、TSMCのように半導体を製造する会社でもありません。
高性能な半導体を製品として成立させるための、
「材料」
を提供する会社です。
AI半導体が高性能になればなるほど、放熱・接着・絶縁・配線などの技術も高度化します。
ここにレゾナックの成長機会があります。
最新業績|半導体・電子材料が成長を牽引
2026年8月6日に発表された2026年12月期中間決算では、業績が大きく改善しました。
2026年1~6月期は、
売上収益:約6,769億円
コア営業利益:約888億円
親会社の所有者に帰属する中間利益:約485億円
となりました。
前年同期比では、
売上収益 +5.4%
コア営業利益 +156.5%
中間利益 +146.5%
と大幅な増益です。
特に業績を牽引しているのが、
半導体・電子材料
です。
AI・データセンター向けを中心とした半導体需要の拡大が、レゾナックの業績に実際に反映され始めています。
レゾナックは「事業を増やす会社」から「選ぶ会社」へ
今回レゾナックについて調べていて、個人的に最も興味深かったのがここです。
現在のレゾナックは単純に半導体事業を追加しているわけではありません。
むしろ、
成長性の低い事業・非中核事業を整理
↓
そこで得た経営資源を成長分野へ振り向ける
↓
半導体・電子材料への集中度を高める
という事業ポートフォリオ改革を進めています。
これは非常に重要だと思います。
会社全体の売上をただ大きくするのではなく、
「どの事業で利益を稼ぐ会社になるのか」
を変えようとしているからです。
石油化学事業についても分離を進めており、レゾナックの会社としての性格そのものが変化しています。
レゾナックの強み①|半導体の前工程と後工程の両方を持つ
レゾナックの特徴は、
前工程材料+後工程材料
の両方を持っていることです。
前工程では、
- 高純度ガス
- CMPスラリー
など。
後工程では、
- 銅張積層板
- 封止材
- ダイボンディング材料
- 感光性材料
などがあります。
AI半導体では特に後工程の重要性が高まっていますが、前工程にも事業を持つことで半導体技術の変化を幅広く取り込めます。
強み②|AI時代に重要な「先端パッケージ」
AI半導体ではGPU単体だけではなく、
GPU+HBM+複数チップ
を組み合わせることが重要になっています。
チップが増えれば、
- 接続
- 絶縁
- 放熱
- 基板
- 接着
などに使われる材料も高度化します。
つまり、
AI半導体の高性能化
↓
先端パッケージの高度化
↓
使用される高機能材料の価値上昇
という構造です。
レゾナックはこの変化の恩恵を受ける企業の一つだと考えられます。
強み③|NVIDIAが勝つかAMDが勝つかを当てなくてもよい
材料メーカーには面白い特徴があります。
AI半導体市場で、
NVIDIAが勝つのか
AMDが伸びるのか
独自AIチップが増えるのか
を完全に予想する必要がありません。
どの企業が勝ったとしても、
より高性能な半導体が大量に作られる
のであれば、高性能材料への需要が増える可能性があります。
これは半導体製造装置メーカーにも共通する「つるはし型」の魅力だと思います。
業績だけを見るとかなり魅力的
最新中間決算では、
コア営業利益+156.5%
という大幅増益でした。
また会社は通期業績予想を上方修正しています。
AI半導体ブームが単なる「期待」だけではなく、
実際の利益に表れ始めている
ことは重要です。
ただし、ここで注意したいことがあります。
「業績が良い」=「株が安い」ではありません。
ここからは株価とバリュエーションを見ます。
現在の株価

2026年8月25日の終値は、
16,180円
でした。
2026年の年初来では、
年初来安値 6,635円
年初来高値 20,495円
となっています。
つまり年初から見ると、株価は一時3倍近くまで上昇しました。
現在は20,000円を超えた高値から調整していますが、それでも年初から見ればかなり上昇しています。
市場はすでに、
「レゾナック=AI・半導体材料企業」
という評価をある程度株価に織り込み始めていると考えた方がよさそうです。
PER・PBRから見るレゾナック
2026年8月26日時点の参考値では、
予想EPS:約620円
予想PER:約26倍
PBR:約4倍
予想配当:65円
予想配当利回り:約0.4%
です。
これを見ると、
「化学メーカーとしてはかなり高くないか?」
と感じます。
その感覚は間違っていないと思います。
レゾナックはすでに従来型の化学メーカーというより、
「将来の半導体材料成長企業」
として評価され始めています。
PER26倍は高いのか?
単純化して考えてみます。
予想EPSを620円とすると、
PER20倍
620円 × 20倍
= 12,400円
PER25倍
620円 × 25倍
= 15,500円
PER30倍
620円 × 30倍
= 18,600円
PER35倍
620円 × 35倍
= 21,700円
となります。
現在の16,000円前後という株価は、
PER25~26倍程度
の評価です。
つまり、
「半導体材料企業への転身がある程度成功する」
ことをすでに織り込んだ株価とも言えます。
レゾナック最大の魅力は「EPS成長+PER上昇」
ただし、ここがレゾナック投資の面白いところです。
株価は大まかに、
株価=EPS × PER
で考えることができます。
レゾナックの場合、
① 半導体材料の成長によってEPSが増える
さらに、
② 化学メーカーから半導体材料メーカーへ評価が変わることでPERが上昇する
という二つの可能性があります。
例えば、
EPS 800円
PER 30倍
になれば、
800円 × 30倍=24,000円
です。
もちろんこれは株価予想ではなく、考え方を示すための単純な試算です。
逆に、
EPSが伸びない
↓
「やはり普通の化学会社では?」
と市場から判断される
↓
PER20倍
となれば、
620円 × 20倍=12,400円
まで評価が低下する可能性もあります。
つまりレゾナックは、
企業変革が成功するかどうかで評価が大きく変わる銘柄
だと思います。
PBR約4倍をどう考える?
PBRもすでにかなり上昇しています。
つまり市場は、
「レゾナックが保有する資産そのもの」
ではなく、
「今後どれだけ利益を生み出せる会社になるか」
を評価しています。
そのため今後重要になるのは、
ROEの改善
です。
直近実績ROEは約4%台であり、東京エレクトロンやアドバンテストなどの高収益半導体企業とはまだ大きな差があります。
ここはレゾナックを見るうえで非常に重要なポイントだと思います。
アナリストはどう見ている?
2026年8月24日時点のみんかぶのアナリストコンセンサスでは、
「買い」
となっています。
内訳は、
強気買い 7人
買い 3人
中立 2人
で、
平均目標株価は
20,533円
です。
16,000円前後の株価から見ると、アナリストはまだ上昇余地があると見ています。
ただし、目標株価は将来の株価を保証するものではありません。
参考材料の一つとして見る程度がよいと思います。
配当目的の銘柄ではない
予想年間配当は、
65円
です。
株価16,000円前後なら配当利回りは約0.4%。
そのため、
高配当株として買う会社ではありません。
レゾナックに投資する理由は、
配当ではなく、
半導体材料事業の成長
と、
企業価値の再評価
だと思います。
財務面には注意
レゾナックには弱点もあります。
自己資本比率は約33%。
半導体関連企業の中でも、
東京エレクトロンやアドバンテストのような非常に強い財務体質とは違います。
旧日立化成買収などの影響もあり、財務改善は重要なテーマです。
今後、
利益成長
だけでなく、
有利子負債の削減
自己資本比率の改善
も確認していきたいところです。
レゾナック株のリスク①|AI投資の減速
現在の半導体市場を牽引している最大のテーマはAIです。
Microsoft、Amazon、Google、Metaなどが巨額のAIデータセンター投資を続けています。
しかし、
AI投資がいつまでも同じ速度で増え続ける保証はありません。
AI設備投資が減速すれば、
NVIDIA
↓
TSMC
↓
半導体製造装置
↓
材料
という形で、レゾナックにも影響が及ぶ可能性があります。
リスク②|期待がすでに株価へ入っている
2026年の年初来安値は6,635円。
一方、5月には20,495円まで上昇しました。
非常に大きな上昇です。
つまり、
「AI半導体材料企業への変身」
は市場に全く知られていない話ではありません。
PERも約26倍まで上昇しています。
企業変革が順調でも、
期待ほどではない
だけで株価が下落する可能性があります。
リスク③|半導体は景気循環産業
需要増
↓
設備投資増加
↓
生産能力増加
↓
供給過剰
↓
価格下落
↓
設備投資削減
という循環を繰り返します。
AI需要によって今回は従来とは違うという見方もありますが、半導体が景気循環の影響を受ける産業であること自体は変わりません。
リスク④|企業変革がまだ完成していない
個人的にはここを一番重要視しています。
東京エレクトロンやアドバンテストは、
すでに高収益な世界的半導体企業
です。
一方レゾナックは、
「そこを目指して会社を作り替えている途中」
です。
つまり、
東京エレクトロン
=完成度を買う
アドバンテスト
=AI成長を買う
レゾナック
=企業変革を買う
という違いがあります。
東京エレクトロン・アドバンテストとの違い
3社を簡単に整理すると、
| 企業 | 半導体での役割 | 投資テーマ |
|---|---|---|
| 東京エレクトロン | 製造装置 | 半導体設備投資 |
| アドバンテスト | 半導体検査 | AI半導体の高性能化 |
| レゾナック | 半導体材料 | 先端パッケージ+企業変革 |
個人的には、
安定感・完成度なら東京エレクトロン
AI成長への感応度ならアドバンテスト
変化率・企業再評価ならレゾナック
という印象です。
今からレゾナック株は買える?
ここまで調べたうえでの私の考えは、
「非常に面白い会社だが、現在の株価で一括購入するより押し目を待ちながら少額で入る」
です。
理由は明確です。
良い材料
- AI半導体市場の拡大
- 先端パッケージ需要の増加
- 半導体・電子材料が好調
- 大幅増益
- 通期予想上方修正
- 非中核事業の整理
- 半導体材料メーカーへの転身
- アナリスト評価も比較的強い
一方、
注意材料
- 株価がすでに大きく上昇
- PER約26倍
- PBR約4倍
- 配当利回りは低い
- ROEはまだ低い
- 財務改善が必要
- AI設備投資への依存
- 半導体サイクル
- 企業変革がまだ途中
があります。
したがって、
「安い化学株を買う」
という感覚ではありません。
むしろ、
「将来、世界的な半導体材料メーカーになることに投資する」
銘柄だと思います。
私が今後チェックしたいポイント
レゾナックについては株価そのものより、次の数字を継続的に見たいと思います。
① 半導体・電子材料の売上・利益
ここが引き続き二桁成長できるか。
② AI向け材料需要
GPU・HBM・先端パッケージの拡大が続くか。
③ 営業利益率・ROE
単純な売上成長だけでなく、会社そのものが高収益化しているか。
④ 事業売却
非中核事業の整理が予定通り進むか。
⑤ 財務改善
有利子負債と自己資本比率。
⑥ PER
利益が増えてもPERが高くなりすぎれば、投資妙味は低下します。
この6点を確認していきたいと思います。
まとめ|レゾナックは「化学株」から「半導体材料株」へ変われるか
今回レゾナックを調べてみて、一番印象に残ったのは、
「良い半導体材料を持っている会社」
というだけではありませんでした。
会社そのものを、
総合化学メーカー
から、
世界トップクラスの半導体・電子材料メーカー
へ作り替えようとしていることです。
生成AIによって、
GPU
↓
HBM
↓
先端パッケージ
↓
高性能材料
の重要性が高まっています。
これはレゾナックにとって大きな追い風です。
一方、株価もすでに大幅に上昇し、PER約26倍・PBR約4倍まで評価されています。
そのため、
「良い会社だから買う」
ではなく、
「現在の株価で、将来の成長をどこまで織り込んでいるのか」
を見る必要があります。
個人的には、
東京エレクトロン=半導体製造装置の本命
アドバンテスト=AI半導体検査の本命
に対して、
レゾナック=AI先端パッケージ材料+企業変革
という位置づけで見ています。
完成された高収益企業ではありません。
しかし、その分、
企業変革が成功した場合の「変化率」
は非常に興味深いものがあります。
今後の決算では、単純な売上高だけでなく、
半導体・電子材料の利益成長、利益率、ROE、財務改善
を追いかけながら、投資判断をしていきたいと思います。
なお、レゾナックの最新決算・経営戦略については、公式IR情報もあわせて確認しています。


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