前回の記事では、私がSBI証券で個人向け国債「変動10年」を30万円購入した理由について紹介しました。
今回購入した第198回「変動10年」の初回適用利率は、年1.95%(税引前)です。
数年前の低金利時代を考えると、個人向け国債もかなり魅力的な金利になってきたと感じています。
しかし、実際に購入してから一つ気になったことがあります。
それが、
「固定5年の方が2.24%と金利が高い。それなら固定5年を買った方がよかったのでは?」
という疑問です。
2026年9月募集分では、
変動10年:1.95%
固定5年:2.24%
と、現時点では固定5年の方が0.29ポイント高い設定です。
そこで今回は、「変動10年」と「固定5年」の違いを整理したうえで、100万円を投資した場合、今後の金利によって受取利息がどう変わるのかを考えてみます。
変動10年と固定5年の基本的な違い

まずは両者を比較してみましょう。
| 項目 | 変動10年 | 固定5年 |
|---|---|---|
| 2026年9月金利 | 1.95% | 2.24% |
| 金利タイプ | 変動 | 固定 |
| 金利見直し | 半年ごと | なし |
| 満期 | 10年 | 5年 |
| 最低金利 | 0.05% | 0.05% |
| 利払い | 年2回 | 年2回 |
| 最低購入額 | 1万円 | 1万円 |
| 中途換金 | 発行1年後から | 発行1年後から |
| 満期時 | 額面で償還 | 額面で償還 |
財務省によると、変動10年の適用利率は基準金利×0.66で決まり、半年ごとに見直されます。
一方、固定5年は購入時の利率が満期まで変わりません。現在は基準金利から0.05%を差し引いて利率が設定される仕組みです。
ここが両者を選ぶうえで最も重要なポイントです。
現時点だけなら「固定5年」が有利
まず、非常に単純に考えてみます。
100万円購入した場合、現在の金利で年間どれくらいの利息になるでしょうか。
変動10年
100万円 × 1.95%
=年間19,500円(税引前)
固定5年
100万円 × 2.24%
=年間22,400円(税引前)
その差は、
年間2,900円
です。
5年間ずっとこの金利差が続くと仮定すれば、
2,900円×5年=14,500円
固定5年の方が多く利息を受け取ることになります。
つまり、「現在の金利がこのまま続く」のであれば固定5年が有利です。
では、それでも変動10年を選ぶ理由は何でしょうか。
変動10年の最大のメリットは「金利上昇についていけること」
変動10年は半年ごとに適用金利が見直されます。
そのため、今後さらに金利が上昇すれば、受け取れる利息も増える可能性があります。財務省も、実勢金利が上昇すれば受取利子が増えることがある点を変動10年の特徴として説明しています。
例えば、
1.95% → 2.2% → 2.5% → 3.0%
と上昇していけば、その金利上昇を一定程度取り込めます。
一方、固定5年は一度2.24%で購入すれば、5年間ずっと2.24%です。
金利が3%、4%と上昇しても、すでに購入した固定5年の利率は変わりません。
つまり、
金利上昇に強いのが「変動10年」
です。
反対に金利が下がれば「固定5年」が強い
もちろん逆もあります。
現在の金利がピークに近く、
2.24% → 2% → 1.5% → 1%
と市場金利が低下していったらどうでしょう。
固定5年を購入した人は、引き続き2.24%を受け取れます。
一方、変動10年は適用金利が低下する可能性があります。
つまり、
現在の高い金利を5年間確保できる
ことが固定5年の最大のメリットです。
「これから金利が上がるのか、下がるのか」が両者を選ぶ重要な判断材料になります。
100万円を5年間運用したらどうなる?

ここから少し具体的に考えてみます。
100万円を「変動10年」と「固定5年」に投資したと仮定して、5年間の利息を比較してみます。
ただし、将来の金利は誰にも分かりません。
そこで、
①金利上昇
②金利横ばい
③金利低下
の3つの仮想シナリオを作ってみました。
※以下の変動10年の金利は説明のための仮定であり、将来の金利を予測するものではありません。また実際の変動10年は半年ごとに利率が見直されます。
ケース① 金利がさらに上昇した場合
仮に変動10年の平均的な適用金利が、
| 年 | 仮定金利 |
|---|---|
| 1年目 | 1.95% |
| 2年目 | 2.20% |
| 3年目 | 2.50% |
| 4年目 | 2.70% |
| 5年目 | 3.00% |
となったとします。
100万円なら5年間の税引前利息は単純計算で、
約123,500円
です。
固定5年は2.24%なので、
22,400円×5年=112,000円
です。
このケースでは、
変動10年:約123,500円
固定5年:112,000円
となり、変動10年が約11,500円上回ります。
金利上昇が続けば、最初は固定5年より低かった変動10年が途中で逆転する可能性があります。
ケース② 金利がほぼ横ばいだった場合
次は、変動10年の適用金利が5年間ずっと1.95%程度だったと仮定します。
変動10年は、
19,500円×5年=97,500円
固定5年は、
22,400円×5年=112,000円
です。
差額は、
14,500円
固定5年が有利になります。
現在の金利が大きく動かなければ、最初から2.24%を確保できる固定5年の方が有利です。
ケース③ 金利が低下した場合
最後に、変動10年の適用金利が、
| 年 | 仮定金利 |
|---|---|
| 1年目 | 1.95% |
| 2年目 | 1.50% |
| 3年目 | 1.20% |
| 4年目 | 0.80% |
| 5年目 | 0.50% |
まで低下したと仮定します。
5年間の税引前利息は単純計算で、
約59,500円
となります。
一方、固定5年は2.24%が変わらないため、
112,000円
です。
差額は約52,500円。
金利低下局面では、固定5年の強さがはっきりします。
3つのケースを比較すると
100万円を5年間運用した場合の仮想シミュレーションをまとめます。
| 金利シナリオ | 変動10年 | 固定5年 | 有利 |
|---|---|---|---|
| 金利上昇 | 約123,500円 | 112,000円 | 変動10年 |
| 横ばい | 約97,500円 | 112,000円 | 固定5年 |
| 金利低下 | 約59,500円 | 112,000円 | 固定5年 |
※税引前・単純計算。変動10年の将来金利は仮定です。
こうして見ると非常に分かりやすいですね。
変動10年=これからの金利上昇に期待する商品
固定5年=現在の金利を5年間確保する商品
と考えることができます。
では「損益分岐点」は何%?
ここでもう一つ気になるのが、
「変動10年の金利がどこまで上がれば固定5年に追いつくのか?」
です。
固定5年は2.24%です。
したがって単純化すると、5年間の変動10年の平均適用金利が2.24%を上回れば、変動10年の累計利息が固定5年を上回ります。
反対に平均2.24%未満なら、固定5年の方が有利です。
ただし、現在の変動10年は1.95%です。
そのため、変動10年が固定5年を逆転するには、今後ある程度金利が上昇する必要があります。
これは今回比較してみて、私自身も改めて重要だと感じたポイントです。
「変動か固定か」を当てる必要はない
ここまで読むと、
「では今後金利が上がるか下がるか予想しなければならない」
と思うかもしれません。
しかし、私は必ずしもどちらか一方を選ぶ必要はないと考えています。
例えば200万円を国債に振り向けるなら、
変動10年:100万円
固定5年:100万円
という方法もあります。
金利が上がれば変動10年の利息が増える。
金利が下がれば固定5年の2.24%が残る。
どちらか一方に賭けるのではなく、両方持つことで金利変動に対してバランスを取る考え方です。
私自身、まず変動10年を30万円購入しましたが、今後の金利動向を見ながら固定5年を組み合わせることも検討しています。
私の場合、株式などの「増やす資産」をすでに保有しているため、個人向け国債には大きなリターンよりも「守る資産」としての役割を期待しています。
その意味では、変動10年と固定5年を組み合わせることも、今後の選択肢の一つだと考えています。
変動10年は「10年間資金拘束」ではない
前回の記事でも触れましたが、ここは大切なので改めて確認しておきます。
変動10年だからといって、必ず10年間保有しなければならないわけではありません。
変動10年も固定5年も、原則として発行から1年経過後であれば中途換金できます。
しかも1万円単位で一部だけ換金することもできます。
ただし中途換金時には、
直前2回分の各利子(税引前)相当額×0.79685
が中途換金調整額として差し引かれます。
したがって、
「10年間絶対に使わないお金でなければ買えない」
という商品ではありません。
この換金のしやすさも、私が現金の一部を個人向け国債へ移してもよいと考えた理由の一つです。
私なら現時点ではどうする?
今回比較してみて、私自身は「どちらか一方が絶対に正解」とは考えていません。
固定5年の2.24%は魅力的です。
何もしなくても5年間この金利を確保できるのは大きなメリットです。
一方で、日本の金利が今後さらに上昇するのであれば、変動10年にも魅力があります。
そのため私は、
まず変動10年を30万円購入
↓
今後の金利を確認
↓
変動10年の追加購入または固定5年を組み合わせる
という方法で進めようと考えています。
個人向け国債は毎月募集されているため、「今日すべてを決めなければならない」わけではありません。財務省によると変動10年・固定5年・固定3年はいずれも毎月発行されています。
まとめ|変動10年と固定5年は「どちらが得」ではなく役割が違う
2026年9月現在、
変動10年:1.95%
固定5年:2.24%
です。
現在の金利だけを見れば、固定5年が有利です。
しかし、変動10年には半年ごとに金利が見直されるという特徴があります。
そのため、
これから金利が上がると考える → 変動10年
現在の2.24%を5年間確保したい → 固定5年
金利の方向が分からない → 両方を組み合わせる
という考え方ができます。
私は前回、実際に変動10年を30万円購入しました。
今回改めて比較してみると、固定5年にもかなり魅力があることが分かりました。
そして次に気になっているのが、日本国債より利回りの高い米国債です。
「それなら米国債の方がいいのでは?」
と思う一方で、日本人が米国債を購入する場合には為替リスクという大きな問題があります。
ただ、米国ETFなどですでに保有しているドルを使って米国債を購入し、満期後も円に戻さずドルのまま使うとしたらどうでしょうか。
第3弾では、「日本国債vs米国債」と、為替リスクをできるだけ抑えながらドル資産を活用する方法について考えてみたいと思います。
※本記事のシミュレーションは将来の金利を予測するものではありません。本記事は筆者自身の投資経験・考えを紹介するもので、特定の金融商品の購入を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。


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