「ドン・キホーテ」と聞けば、多くの人が一度は利用したことがあるのではないでしょうか。
食品、日用品、家電、衣料品まで幅広い商品を扱い、独特な売り場づくりと低価格を武器に成長してきたドン・キホーテ。
その運営企業が、パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス(PPIH・証券コード7532)です。
国内だけでなく海外展開も進め、売上高はついに2兆円を大きく超える規模になりました。
一方、株価を見ると2026年8月26日時点で約824円。
直近高値から大きく調整しています。
今回はPPIHについて、
- 会社の特徴
- 2026年6月期決算
- 2027年6月期業績予想
- PER・PBRなどのバリュエーション
- 株価チャート
- RSI・信用倍率
- アナリスト予想
- 今後の上昇材料とリスク
という順番で、「今から投資対象として考えられるのか」を初心者目線で整理してみます。
※本記事は特定銘柄の売買を推奨するものではありません。投資判断は自己責任でお願いいたします。
PPIHとは?

PPIHは「ドン・キホーテ」を中心とする小売グループです。
国内では、
ドン・キホーテ
MEGAドン・キホーテ
アピタ
ピアゴ
などを展開しています。
さらに海外では、北米に加えてアジアで「DON DON DONKI」を展開しています。
つまり現在のPPIHは、単なる「日本のディスカウントストア」ではありません。
国内ディスカウント+総合スーパー+海外小売
という複数の成長エンジンを持つ小売グループへと変化しています。
2026年6月期は好決算
| 2025年6月期 | 2026年6月期 | 前年比 | |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 2兆2,468億円 | 2兆4,453億円 | +8.8% |
| 営業利益 | 1,623億円 | 1,748億円 | +7.7% |
| 経常利益 | 1,585億円 | 1,775億円 | +12.0% |
| 純利益 | 905億円 | 1,101億円 | +21.6% |
かなり強い数字です。
特に注目したいのが純利益。
前年比で21.6%増となりました。
売上高だけが増えているのではなく、利益もしっかり増えています。
2023年6月期から振り返ると、
売上高
2023年 1兆9,368億円
↓
2024年 2兆950億円
↓
2025年 2兆2,468億円
↓
2026年 2兆4,453億円
営業利益
2023年 1,053億円
↓
2024年 1,402億円
↓
2025年 1,623億円
↓
2026年 1,748億円
と成長を続けています。
「ドン・キホーテはよく見るけれど、本当に会社として成長しているのか?」
という疑問に対しては、
少なくともここ数年の業績を見る限り、かなり力強い成長を続けている
と言ってよさそうです。
財務内容も改善
個人的に注目したいのが自己資本比率です。
2023年6月期 30.6%
2024年6月期 35.8%
2025年6月期 40.1%
2026年6月期 44.0%
と着実に改善しています。
ROEも2026年6月期で約16.8%。
小売企業として十分高い資本効率を維持しながら、財務体質も改善しています。
「成長しているけれど借金頼み」という企業とは少し違います。
ところが2027年6月期は利益成長が鈍化
ここが現在のPPIH株を見るうえで非常に重要です。
会社側が発表した2027年6月期予想は、
| 2026年6月期実績 | 2027年6月期予想 | 前年比 | |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 2兆4,453億円 | 2兆6,870億円 | +9.9% |
| 営業利益 | 1,748億円 | 1,790億円 | +2.4% |
| 経常利益 | 1,775億円 | 1,753億円 | ▲1.2% |
| 純利益 | 1,101億円 | 1,105億円 | +0.4% |
となっています。
売上高は約10%伸びる予想なのに、
営業利益は+2.4%、純利益はほぼ横ばい。
さらに経常利益は減益予想です。
ここが現在の株価が伸び悩んでいる大きなポイントだと考えています。
成長株として評価されてきた企業だけに、
「売上は増えるが利益はあまり増えない」
という会社予想は、株式市場から見ると少し物足りません。
会社予想は慎重すぎる?
一方、非常に興味深いのがアナリスト予想です。
2027年6月期の会社予想と市場コンセンサスを比較すると、
| 会社予想 | アナリストコンセンサス | |
|---|---|---|
| 売上高 | 2兆6,870億円 | 約2兆6,621億円 |
| 営業利益 | 1,790億円 | 約1,852億円 |
| 経常利益 | 1,753億円 | 約1,860億円 |
| 純利益 | 1,105億円 | 約1,181億円 |
となっています。
面白いのは、
売上高については会社予想の方が強気なのに、利益についてはアナリストの方が強気
という点です。
市場は、
「会社側の利益予想はやや慎重なのではないか」
と見ている可能性があります。
ここから実際の業績が市場予想に近づけば、上方修正期待が高まってきます。
逆に会社予想通り利益が伸びなければ、現在の株価低迷にも一定の合理性があることになります。
現在のバリュエーションは?
2026年8月26日の株価を約824円として考えます。
会社予想EPSは36.61円です。
したがって予想PERは、
824円 ÷ 36.61円 ≒ 22.5倍
となります。
2026年6月期のBPSは221.95円なので、
PBRは約3.7倍
です。
数字だけ見ると、
「かなり割安」
という水準ではありません。
ただしROE約17%の成長企業なので、PBRが一般的な小売企業より高くなること自体は不自然ではありません。
PPIHの場合、
PER20倍前後まで下がれば割安感が強まり、PER20倍台前半なら成長力次第で十分検討できる
という見方ができそうです。
配当目的の銘柄ではない
2027年6月期の年間配当予想は1株10円。
株価824円なら予想配当利回りは、
約1.2%
です。
したがってPPIHは、
「高配当株として長期保有する」
というより、
利益成長による株価上昇を期待する成長株
として見る方が適していると思います。
PPIHの株主優待|majicaポイントだけではない体験型優待にも注目
PPIHを個人投資家の視点から見るうえで、もう一つ注目したいのが株主優待制度です。
PPIHでは毎年6月末・12月末時点で100株以上保有する株主を対象に、保有株数に応じて「majicaポイント」が進呈されます。
| 保有株数 | 1回あたり | 年2回合計 |
|---|---|---|
| 100~299株 | 300ポイント | 600ポイント |
| 300~499株 | 1,000ポイント | 2,000ポイント |
| 500株以上 | 2,000ポイント | 4,000ポイント |
majicaポイントは1ポイント=1円として、ドン・キホーテ、MEGAドン・キホーテ、アピタ、ピアゴなど国内PPIHグループ店舗で利用できます(一部対象外店舗あり)。
2026年8月26日の株価824.2円で計算すると、
- 100株:約8.2万円
- 300株:約24.7万円
- 500株:約41.2万円
から対象となります。
実は「体験型株主優待」もある
PPIHの株主優待を調べていて興味深かったのが、majicaポイント以外にも「体験型株主優待」が用意されていることです。
2025年12月末権利分から新設された制度で、100株以上保有する株主が利用・応募できます。
代表的なのが「デジタルスタンプ」です。
majicaアプリを利用して買い物すると、税抜1,000円ごとに1スタンプが貯まり、スタンプ数に応じてPPIHのPB「情熱価格」商品などと交換できます。
さらに500株以上保有している場合はスタンプが2倍になります。
普段からドン・キホーテなどをよく利用する人にとっては、単純なmajicaポイント以上に面白い優待だと思います。
(体験型株主優待については私も知らなかったのですが、ドン・キホーテ・ヘビーユーザーの妻から聞いて驚きました。ちなみに妻は投資については全く無関心です。笑)
イベントや株主限定IR Dayも
体験型優待はデジタルスタンプだけではありません。
PPIH公式では、
- PB商品やコスメなどの体感イベントへの抽選招待
- 「手書きPOP」をモチーフにしたメッセージカード
- 株主限定IR Day
なども用意されています。
一般的な「商品券をもらって終わり」という株主優待とは少し違い、株主に実際にドン・キホーテやPPIHの商品・サービスを体験してもらうことを重視した制度になっています。
100株・300株・500株ならどれがお得?
majicaポイントだけで計算すると、株価824.2円の場合の年間優待利回りは概算で、
100株:約0.73%
300株:約0.81%
500株:約0.97%
となります。
単純な優待利回りでは500株が最も高く、さらにデジタルスタンプも2倍になります。
そのため、
少額でPPIH株を持ってみたい → 100株
優待をより活用したい → 500株
という考え方もできそうです。
特に普段からドン・キホーテ、MEGAドン・キホーテ、アピタ、ピアゴなどを利用している人にとっては、PPIHは「株価上昇+配当」だけではなく、日常生活でも株主メリットを感じやすい銘柄と言えそうです。
株価チャートを確認

2026年8月26日の株価は824.2円。
チャートを見ると、以前は1,067円まで上昇しましたが、その後下落。
直近安値は793.6円となっています。
現在は800円台前半まで下落しており、
800円前後が重要な下値支持線
として意識されそうです。
一方、上には移動平均線が存在しているため、本格的な上昇トレンドへ戻ったとはまだ言いにくい状態です。
テクニカル的には、
「下値圏には来ているが、明確な上昇転換はまだ確認できない」
という印象です。
RSIは売られ過ぎから回復へ
添付チャートのRSI(14日)を見ると、直近の急落によってかなり低下した後、現在は少し反発しています。
一般的に、
RSI 70以上 → 買われ過ぎ
RSI 30以下 → 売られ過ぎ
の目安として利用されます。
現在は極端な買われ過ぎではありません。
株価が800円付近で下げ止まり、RSIが切り返してくるようなら短期的には反発余地もありそうです。
少し気になる「信用倍率」
一方で気になるのが信用倍率です。
チャートを見ると、これまで低水準だった信用倍率が直近で急上昇しています。
これは株価下落局面で、
「そろそろ反発するのでは?」と考える信用買いが増えている
可能性があります。
信用買い残が増えすぎると、その後の戻り局面で売却される「将来の売り圧力」になる場合があります。
そのため、
株価800円だからすぐ反発する
と単純に考えるのではなく、信用倍率の推移も確認しておきたいところです。
アナリストはかなり強気
アナリストの12カ月目標株価を見ると、平均は約1,061円。
株価824円から計算すると、
約29%の上昇余地
があります。
予想レンジは概ね、
900~1,300円
です。
投資判断も、
買い 11人
保有 6人
売り 0人
となっており、全体としては「買い」評価です。
もちろん目標株価まで必ず上昇するわけではありません。
ただ、
会社の今期利益予想に対して株式市場が悲観的になっている一方、アナリストは中長期成長を比較的高く評価している
という構図は興味深いところです。
PPIHの強み① 物価高との相性
現在の日本では食品や日用品の値上げが続いています。
消費者の節約志向が強くなるほど、
「少しでも安く買いたい」
という需要が高まります。
低価格を大きな武器としているドン・キホーテにとって、これは追い風になり得ます。
実際、2026年7月の国内主要リテール既存店売上高は前年同月比103.8%。
ディスカウント事業では104.8%でした。
既存店が引き続き前年を上回っていることはポジティブです。
PPIHの強み② インバウンド
もう一つ重要なのが訪日外国人需要です。
ドン・キホーテは外国人観光客にも非常に人気があります。
化粧品、医薬品、食品、菓子、家電、キャラクター商品などを一度に購入できることは大きな強みです。
訪日外国人数が高水準を維持すれば、都市部・観光地の店舗を中心に恩恵を受ける可能性があります。
PPIHの強み③ 海外成長
長期的には海外事業にも注目です。
「DON DON DONKI」を中心にアジア展開を進めており、日本の商品や日本型店舗への需要を取り込もうとしています。
国内だけでなく、
海外店舗を第2、第3の成長エンジンにできるか
が今後の企業価値を左右しそうです。
一方でリスクもある
もちろん強気材料だけではありません。
特に注意したいのは、
①人件費上昇
②仕入価格上昇
③物流費上昇
④海外展開コスト
⑤円高・円安など為替変動
⑥信用買い残増加
⑦成長率鈍化によるPER低下
です。
特に成長株では⑦が重要です。
仮に利益が伸びなくなると、
「PER25倍でも許容される企業」
から、
「PER15~20倍程度で評価される企業」
へ変化することがあります。
業績が悪化しなくても、成長率が低下するだけで株価が下落する可能性があります。
800円前後は買い時なのか?
ここまでを整理すると、私はPPIHを
「企業そのものは魅力的。ただし株価の底打ちはまだ確認したい」
という銘柄として見ています。
824円・予想PER約22.5倍という水準は、決して激安ではありません。
しかし、
- 2026年6月期は増収増益
- 売上高2.4兆円超
- ROE約17%
- 自己資本比率改善
- 国内ディスカウント事業が強い
- インバウンド需要
- 海外成長余地
- アナリスト目標株価約1,061円
という点を考えれば、以前より投資しやすい株価になってきたとも考えられます。
私なら「一括購入」より分割購入
仮に私がPPIHへの投資を検討するなら、現在のようなチャートでは一度に購入するより、
投資タイミングを分散し少額で入る
方法を考えます。
例えば、
800円前後 → 第1段階
750円前後 → 第2段階
業績上方修正・上昇トレンド確認 → 追加
という考え方です。
逆に株価が上昇した場合も、850~900円付近の移動平均線を明確に上抜けてくれば、テクニカル面では安心感が出てきます。
「最安値で買う」ことより、
業績と株価トレンドの両方を確認しながら少しずつ買う
方が個人的には取り組みやすいと思います。
今後チェックしたいポイント
今後、特に確認したいのは次の5点です。
① 月次既存店売上高
国内ドン・キホーテの成長が続いているか。
② 営業利益率
売上が増えても人件費・仕入価格上昇で利益率が低下していないか。
③ 2027年6月期業績の上方修正
会社予想と市場予想には差があります。
この差がどちらに収束するかは重要です。
④ 海外事業
DON DON DONKIなど海外店舗が次の成長エンジンになれるか。
⑤ 株価800円
直近安値793.6円付近を維持できるか。
ここを明確に割れる場合は、さらに下値を探る展開も想定しておく必要があります。
まとめ|PPIHは「業績悪化で売られている株」ではない
PPIHについて調べてみると、現在の株価下落は「業績が悪い企業の下落」とは少し違うように感じます。
2026年6月期は、
売上高 +8.8%
営業利益 +7.7%
純利益 +21.6%
という好決算でした。
問題は2027年6月期。
会社側が利益についてかなり慎重な予想を出したため、
「これまでのような高成長が続くのか?」
という疑問が株価に反映されていると考えられます。
一方でアナリスト平均目標株価は約1,061円。
市場コンセンサスも会社予想を上回る利益を見込んでいます。
つまり今後のポイントは、
「PPIHの成長が終わったのか、それとも会社予想が慎重なだけなのか」
です。
もし後者で、今後上方修正が出てくるようなら、800円台前半は後から見れば魅力的な水準だったという可能性があります。
反対に利益率低下が続くようなら、PER20倍台でも割安とは言えません。
個人的には、現在のPPIHは「すぐ一括購入」というより、
800円付近の下値を確認しながら少額で観察したい銘柄
という位置付けです。
次回の2027年6月期第1四半期決算は、会社IRカレンダーでは2026年11月12日予定。
ここで利益成長の方向性が確認できるかが、次の重要なチェックポイントになりそうです。

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