建設需要が旺盛な一方、中東情勢の不安定化によって資材調達リスクが高まっています。
こうした環境では「ゼネコンならどこでも同じ」ではありません。
今回はスーパーゼネコンの中から、
鹿島(1812)
大成建設(1801)
大林組(1802)
清水建設(1803)
の4社について、業績だけでなく株価チャートと信用倍率まで含めて比較してみます。
ゼネコン各社の業績が好調な一方で、注意したいのが資材調達リスクです。中東情勢の悪化による物流混乱や資材不足、工期・利益率への影響については、こちらの記事で詳しく解説しています。
まず現在の株価位置を比較

9月1日の添付チャートを見ると、4社にはかなり共通点があります。
| 銘柄 | 株価 | 直近高値 | 高値からの下落率 |
|---|---|---|---|
| 鹿島 | 4,838円 | 8,040円 | 約-40% |
| 大成建設 | 12,570円 | 20,680円 | 約-39% |
| 大林組 | 2,992.5円 | 4,439円 | 約-33% |
| 清水建設 | 2,388円 | 3,618円 | 約-34% |
非常に興味深い結果です。
業績そのものは悪くないにもかかわらず、4社ともピークから3~4割程度調整しています。
つまり、
業績悪化によって売られているというより、先行して大きく上昇したゼネコン株のバリュエーション調整
という側面も考える必要があります。
① 鹿島|業績なら最有力、ただしチャートはまだ弱い
鹿島建設
株価は4,838円。
2月につけた8,040円から約40%下落しています。
チャートを見ると、
8,040円
↓
6,000円台
↓
5,500円
↓
5,000円割れ
↓
4,670円
と、高値・安値とも切り下げています。
さらに現在は75日移動平均線を大きく下回っています。
したがって、まだ「明確な上昇トレンド転換」とまでは判断しにくい状況です。
一方、RSIは30台から反発しており、極端な過熱感はありません。
問題は信用倍率
今回もっとも気になるのはこちらです。
信用倍率:約30倍
まで上昇しています。
信用買い残が多いということは、株価が上昇した際に「やれやれ売り」が出やすい状態でもあります。
したがって、
業績では魅力的だが、需給面では少し待ちたい
という評価になります。
鹿島は2027年3月期1Qも公式資料を公表済みで、今後も国内建設・開発・海外事業などの利益動向が重要になります。
チャート評価:★★☆☆☆
業績評価:★★★★★
総合:★★★★☆
② 大成建設|12,000円近辺が重要
大成建設
株価は12,570円。
高値20,680円から約39%下落しました。
こちらも典型的な下降トレンドです。
特に注目したいのが、
12,000~12,500円
付近。
現在、この価格帯で何度か下げ止まろうとしています。
ここを維持できれば、
底値形成 → 25日線突破 → 75日線接近
という流れが期待できます。
反対に12,000円を明確に割れると、もう一段下値を探る可能性があります。
信用倍率は10倍前後。
鹿島・清水建設ほどではありませんが、決して軽い状態でもありません。
チャート評価:★★★☆☆
業績評価:★★★★★
総合:★★★★☆
大成建設については、改修・リニューアル工事を軸とした収益改革にも注目しています。建築利益率15%、さらに17%を視野に入れる戦略や株価の見方については、こちらの記事で詳しく分析しています。
③ 大林組|4社でチャートは比較的良い
大林組
今回、個人的に最も興味深いのが大林組です。
株価は2,992.5円。
高値4,439円から約33%下落しています。
他の3社と違うのは、3,000円近辺で下げ止まりつつあることです。
RSIも40台まで戻っています。
まだ75日移動平均線は下向きなので完全な上昇転換ではありませんが、
「下落トレンドの終盤に入った可能性」
を4社の中では比較的感じさせるチャートです。
さらに2027年3月期の年間配当予想は94円。前年の88円から増配予定です。
現在株価2,992.5円で計算すると、
予想配当利回り:約3.14%
です。
そして大林組は6月、豪州・英国・カナダで建築事業を展開するMultiplex社の子会社化も発表しています。海外展開という意味でも注目材料です。
ただし信用倍率は一時30倍近くまで上昇した後、足元でも10倍超。
需給には注意が必要です。
チャート評価:★★★★☆
業績評価:★★★★☆
株主還元:★★★★☆
総合:★★★★☆
④ 清水建設|一番売られ過ぎだが、信用需給が重い
清水建設
株価は2,388円。
高値3,618円から約34%下落しています。
8月には一時2,178円まで下落しました。
そこから現在は2,388円まで反発しています。
このため短期的には、
2,178円で底を打った可能性
も出てきました。
RSIも50近辺まで回復しています。
しかし問題はこちら。
信用倍率:約25倍
です。
かなり信用買いが積み上がっています。
株価が少し戻るたびに売りが出やすく、上値を重くする可能性があります。
一方、企業側は株主還元を強化しています。
清水建設は連結配当性向40%を目安としており、2025年度年間配当は前期比34円増の72円でした。さらに自己株式取得を含めた総還元性向は46.5%でした。
7月30日には業績予想の修正と自己株式取得も発表しています。
これは投資家として見逃せません。
チャート評価:★★★☆☆
業績評価:★★★☆☆~★★★★☆
株主還元:★★★★★
総合:★★★☆☆~★★★★☆
4社を投資目線で比較すると
私なら現在の4社を次のように整理します。
| 鹿島 | 大成建設 | 大林組 | 清水建設 | |
|---|---|---|---|---|
| 業績 | ◎ | ◎ | ○~◎ | ○ |
| チャート | △ | ○ | ◎ | ○ |
| 高値からの調整 | 約40% | 約39% | 約33% | 約34% |
| 信用需給 | × | △ | △ | × |
| 株主還元 | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ |
| 現時点の評価 | ◎ | ◎ | ◎ | ○~◎ |
ここからが重要です。
今買うなら「大林組」を第一候補
今回の4社だけで順位をつけるなら、
1位 大林組
2位 鹿島
3位 大成建設
4位 清水建設
と考えます。
ただし、これは「企業として優れている順」ではありません。
現在の株価位置まで考えた投資タイミングの順位です。
鹿島は業績面ではむしろ最有力候補ですが、チャートと信用需給を考えると、今すぐ全額を投入するよりも反転確認後の方が入りやすい。
一方、大林組は3,000円近辺まで調整し、予想配当利回りも約3.1%あります。
そのため、
業績+配当+株価位置のバランスでは大林組
と考えます。
ただし「底値買い」は狙わない
4社すべてに共通する重要ポイントがあります。
75日移動平均線が下向きです。
つまり、中期的にはまだ下降トレンド。
「3~4割下落したから安い」と考えて一括購入するより、
①現在付近で少額
→②25日線が上向けば追加
→③75日線を突破すれば追加
という分割投資の方がリスクを抑えやすい局面です。
特に信用倍率が高い鹿島・清水建設は注意したいところです。
新聞記事とチャートを合わせると面白い
今回の日経記事と、この4社の株価を組み合わせると非常に興味深い構図になります。
国内建設需要は強い
↓
ゼネコンの受注残は豊富
↓
採算改善で利益増加
↓
株価は先行して大幅上昇
↓
現在は高値から30~40%調整
↓
さらに中東情勢による資材調達リスク
↓
投資家は「次の利益成長」を見極めている
という状態です。
私はこれを、
「ゼネコン業績が悪いから株価が下がっている」のではなく、「好業績をかなり先取りした株価が調整している局面」
と見るのが適切だと思います。
したがってゼネコン株は「もう終わった」というより、
次の買い場を探す局面に入ってきた
と考える方が面白いでしょう。
※本記事は特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。株式投資には株価下落などのリスクがあります。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。
【参考情報・公式リンク】
公式IR
鹿島建設|株主・投資家情報
大成建設|株主・投資家情報
大林組|株主・投資家情報
清水建設|株主・投資家情報
株価・チャート参考
鹿島(1812)|みんかぶ
大成建設(1801)|みんかぶ
大林組(1802)|みんかぶ
清水建設(1803)|みんかぶ



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