長野県松本市を訪れたら、ぜひ立ち寄りたいのが国宝・松本城です。
以前、愛犬との散歩を兼ねて松本城を訪れました。
実際に目の前にすると印象的なのが、黒を基調とした天守と、その周囲を囲むお堀です。
天候に恵まれれば、その背後には北アルプスの山々。
さらに風が弱い日には、お堀の水面に松本城が映り込み、まるで鏡のような景色を見ることができます。
私自身、国宝5城である松本城・犬山城・彦根城・姫路城・松江城にはすべて登城しました。
その中でも松本城は、姫路城とはまた違った魅力を持つ城だと感じています。
この記事では、実際に訪れたときの写真とともに、
- 松本城は何がすごいのか
- なぜ「黒い城」なのか
- 姫路城との違い
- 戦国時代と江戸時代の建築が同居する面白さ
- 世界遺産登録に向けた現在の動き
について、改めて紹介します。
松本城最大の魅力は「天守・お堀・北アルプス」
松本城を訪れて最初に感じる魅力は、やはりその景観です。
松本城は標高約590mの盆地の平地に築かれた平城(ひらじろ)。
山の上に建てられた山城とは違い、天守までの高低差が比較的小さく、天守を間近に感じられます。
そして何より美しいのが、
黒い天守 × お堀 × 北アルプス
という松本ならではの組み合わせです。

特に風の弱い晴れた日は、お堀の水面に天守や雲が映り込みます。
私が訪れた日にも水面に松本城が大きく映り、実物の天守と「逆さ松本城」を一緒に楽しむことができました。
写真を撮るのが好きな方なら、城そのものだけでなく水面まで含めて構図を作ってみるのがおすすめです。
松本城は「現存する五重六階天守で日本最古」
松本城は単に美しいだけではありません。
現在まで残っている12の現存天守のうち、五重六階の天守として日本最古とされています。
松本市の現在の公式見解では、大天守・乾小天守・渡櫓は文禄2~3年(1593~1594年)ごろに築造された可能性が非常に高いとされています。
築造年代については研究が続いているため、
「1593~1594年ごろとするのが松本市の公式見解」です
松本城の天守群は、
大天守・乾小天守・渡櫓・辰巳附櫓・月見櫓
という5棟から構成され、この5棟が国宝に指定されています。
実は「戦国時代」と「平和な江戸時代」が一つになった城
松本城を面白くしているポイントの一つが、建築された時代の違いです。
大天守・乾小天守・渡櫓は、戦国時代末期に築かれました。
一方、辰巳附櫓と月見櫓は、それから約40年後の江戸時代初期に増築されたと考えられています。
つまり松本城を見ると、
戦うための城 → 平和な時代の城
という日本の歴史の変化を、一つの天守群の中で見ることができます。
戦国期に造られた部分には、鉄砲狭間や矢狭間、石落など、実戦を強く意識した設備があります。
それに対して江戸時代に増築された月見櫓は、名前の通り月を眺めることも意識した開放的で優雅な造りです。
戦争を想定した「要塞」と、平和な時代の「文化的空間」が一つにつながっている。
ここは松本城を見るうえで、ぜひ知っておきたいポイントです。
黒い松本城と白い姫路城
松本城を見ていると、もう一つ気になることがあります。
それが「なぜこんなに黒いのか?」という点です。
対照的なのが世界文化遺産・姫路城です。
松本城は黒い下見板が印象的。
一方、姫路城は白漆喰で覆われた真っ白な外観から「白鷺城」とも呼ばれます。

両者は見た目だけでなく、現在の天守の成立した時代にも違いがあります。
松本城の大天守などは戦国時代末期。
現在の姫路城大天守は、池田輝政による大改修を経て1609年に完成しました。
つまり、
松本城 → 戦国時代末期の緊張感を残す城
姫路城 → 江戸幕府成立後の巨大城郭
という違いを見ることもできます。
ただし、「豊臣=黒、徳川=白」と単純に分けてしまうのは少し注意が必要です。
城の外観には時代・建築技術・材料・城主の美意識などさまざまな要素が関係しています。
それでも、黒を基調とした松本城と白い姫路城を見比べると、同じ「五重六階の現存天守」でもこれほど印象が違うのかと驚かされます。
大阪城を見ると「城の姿は時代によって変わる」ことが分かる
城の外観と時代の関係を考えるうえで面白いのが大阪城です。
現在私たちが見ている大阪城天守閣は、豊臣秀吉の時代からそのまま残っている天守ではありません。
豊臣大坂城は大坂夏の陣で落城。
その後、徳川幕府によって新しい大坂城が築かれました。
さらに現在の天守閣は1931年(昭和6年)に復興されたものです。

現在の大阪城天守閣には、徳川期の天守を参考にしながら、最上層には豊臣時代を意識した意匠も取り入れられています。
同じ「大阪城」という名前でも、時代によって姿は大きく違うわけです。
こうした歴史を知ったうえで松本城を見ると、約400年前の天守そのものが現在まで残っていることの価値が、より実感できます。
天守内部は想像以上に急な階段
松本城を訪れるなら、外から眺めるだけでなく天守内部にも入ってみたいところです。
ただし一つ注意があります。
階段がかなり急です。
松本城で最も急な階段は約61度。
現在の住宅の階段を想像して登ると驚くと思います。
天守内部を歩いてみると、「観光客が登りやすいように造られた建物ではない」という当たり前の事実を体で感じられます。
鉄砲狭間、太い柱、急な階段などを間近で見ることで、外観だけでは分からない戦国時代の城としての松本城を体感できます。
2026年現在も世界遺産登録を目指す取り組みが続く
松本城は国宝ですが、2026年8月現在、世界遺産ではありません。
ただし世界遺産登録を目指す活動は現在も続いています。
現在松本市が目指しているのは、単純に「松本城だけを世界遺産にする」という構想ではありません。
松本城・犬山城・彦根城・姫路城・松江城という国宝5城を「近世城郭の天守群」として捉えた世界遺産登録を目指す取り組みが進められています。
すでに姫路城は世界文化遺産。
彦根城は世界遺産暫定一覧表に掲載されているため、今後は姫路城や彦根城との連携が大きなポイントになります。
2026年にも「国宝松本城を世界遺産に」推進実行委員会の活動は継続しています。
さらに2026年4月には、フランスの世界遺産「シャンボール城」と松本城が姉妹提携を結びました。
400年以上前の日本の城が、保存されるだけではなく、世界の歴史的建造物との交流へ広がっているのも興味深いところです。
2026年8月24日から天守のメンテナンス工事予定
これから松本城へ行く方には注意点があります。
2026年8月24日から10月31日まで、天守・乾小天守・渡櫓・辰巳附櫓などの黒漆塗装を中心とした定期メンテナンスが予定されています。
天守への入場自体は可能ですが、工事期間中は天守外周の一部が足場やテントで覆われる予定です。
また月見櫓については、漆の乾燥のため内部に入れない期間があります。
写真撮影を目的に訪れる場合は、事前に松本城公式サイトで最新情報を確認してから訪れることをおすすめします。
松本城は「大きさ」だけでは測れない魅力がある
姫路城や大阪城などと比べれば、松本城は巨大な城郭という印象ではないかもしれません。
しかし松本城の魅力は、単純な大きさではありません。
約400年前の天守が現存していること。
戦国時代末期と江戸時代初期という二つの時代の建築が一つになっていること。
黒い天守と白壁のコントラスト。
そして、お堀の水面と北アルプスが作り出す松本ならではの景観。
実際に訪れてみると、写真で見る以上に美しい城だと感じます。
特におすすめしたいのは、少し離れてお堀越しに天守全体を眺めること。
風が止まった瞬間、水面にもう一つの松本城が現れます。
歴史好きの方はもちろん、写真撮影や信州旅行を楽しみたい方にもおすすめできる場所です。
国宝5城を巡って比較してみるのも面白いと思います。
松本を訪れる機会があれば、ぜひ「黒い天守」「お堀」「北アルプス」という3つの景色を一緒に楽しんでみてください。
参考・最新情報
松本城の築造年代、天守の構造、工事・観覧情報などは、訪問前に国宝松本城公式サイトで最新情報をご確認ください。
※本記事の現地写真は筆者撮影です。
※施設情報・歴史情報は2026年8月時点の情報をもとに構成しています。


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