【フードテックとは?】政府が9.7兆円の官民投資へ|植物工場・陸上養殖で注目したい日本企業

フードテックとは?政府が9.7兆円投資へ 企業分析
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最近、ニュースを読んでいて気になった言葉があります。

「フードテック」です。

フードテックとは、簡単に言えば「Food(食)」と「Technology(技術)」を組み合わせた分野です。

AIやロボット、植物工場、陸上養殖などの技術を使って、食料の生産から加工、流通、消費までを変えていこうという取り組みです。

2026年10月2日付の日本経済新聞では、政府がフードテック分野について、2040年度までに官民で9.7兆円規模の投資を目指すことが報じられました。

今回は、

なぜ今フードテックなのか?
どんな分野にお金が向かうのか?
恩恵を受ける可能性がある日本企業はどこなのか?

という視点から調べてみます。


フードテックとは?

フードテックとは?食×技術で持続可能な食糧供給を実現する新しい産業

フードテックというと、「代替肉」や「培養肉」をイメージする人も多いかもしれません。

しかし実際には、もっと広い分野です。

農林水産省では、植物性食品、細胞性食品・精密発酵、食品ロス削減、物流DX、ロボティクス、植物工場、スマート水産など、幅広い領域をフードテックとして取り扱っています。

つまり、

食料産業そのものをテクノロジーで変えていく

という大きな産業テーマなのです。

農林水産省:
フードテック官民協議会


政府が想定する「9.7兆円」の内訳

今回特に注目したいのが、政府が検討している官民投資の規模です。

分野投資規模
植物工場約4.6兆円
陸上養殖約2.9兆円
食品機械約1.2兆円
新規食品約1.0兆円
合計約9.7兆円

最も大きいのが植物工場です。

続いて陸上養殖、食品機械、新規食品となっています。

農林水産省も現在、これら4分野について官民投資ロードマップの策定を進めています。

農林水産省「フードテック官民投資ロードマップ」


なぜ今、フードテックなのか?

背景には、日本が抱えるいくつもの問題があります。

農業や水産業の担い手不足、食品工場の人手不足、気候変動、食料安全保障、食品ロスなどです。

例えば農業なら、

人手不足
↓
ロボット・AIによる自動化

天候不順なら、

気候変動
↓
屋内の植物工場

水産業なら、

天然水産資源への依存
↓
陸上養殖

食品工場なら、

人手不足
↓
食品製造ロボット

という流れになります。

ここで私が面白いと思ったのが、フードテックは食品メーカーだけの話ではないということです。


植物工場は「農業」というより工場に近い

植物工場では、屋内でLEDや空調、水、養液などをコントロールして野菜を生産します。

従来の農業とはかなり違います。

植物工場の中には、

LED
空調設備
ポンプ
水処理設備
センサー
ロボット
AI
建物

など、さまざまな設備が必要です。

こうして見ると、

植物工場は「農業+製造業+IT」のような産業

とも考えられます。

ここから関連企業を探していくと、食品会社とは違った企業が浮かび上がってきます。

植物工場では、LEDや空調、ポンプ、センサーなど多くの設備が必要になります。
こうした設備投資を考えていると、以前調べた「AIデータセンター」と似ている部分があることに気づきます。データセンターでも電力設備や冷却設備、銅など幅広い産業に需要が波及します。
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注目① シンフォニアテクノロジー(6507)

まず調べてみたいのがシンフォニアテクノロジーです。

同社は植物工場関連の研究開発に取り組んでいます。

植物工場では、単に野菜を育てるだけではありません。

播種、育苗、栽培、収穫、搬送などをできるだけ自動化することが重要になります。

つまり、

植物工場
+ロボット
+AI
+自動搬送

という巨大な「自動生産システム」へ発展する可能性があります。

植物工場への投資想定額が4分野で最大の4.6兆円という点を考えても、今後調べてみたい企業です。

植物工場とデータセンターは全く違う産業ですが、「大規模な設備を設置し、電力を使いながら安定稼働させる」という点では共通する部分があります。
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注目② 荏原製作所(6361)

個人的に興味深かったのが荏原製作所です。

荏原というとポンプメーカーというイメージがあります。

しかし、植物工場でも陸上養殖でも「水」は重要です。

特に陸上養殖では、

水槽
↓
ろ過
↓
殺菌
↓
酸素供給
↓
再び水槽へ

という水の循環システムが必要になります。

植物工場でも、水や養液を安定して循環させなければなりません。

そのため、

フードテックの拡大 → 水処理・ポンプ需要

というつながりも考えられます。

ただし注意したいのは、フードテック市場が拡大したからといって、荏原の業績がそのまま大きく伸びるとは限らないことです。

あくまで同社の幅広い事業の一つとして、今後どこまで関連需要を取り込めるかを見る必要があります。


注目③ 安川電機(6506)

次が産業用ロボット大手の安川電機です。

植物工場や食品工場が拡大すると、避けて通れないのが自動化です。

例えば植物工場なら、

種をまく
↓
育てる
↓
収穫する
↓
選別する
↓
包装する
↓
搬送する

という工程があります。

これを人間だけで行っていては、人手不足対策にはなりません。

そこで産業用ロボットの出番です。

フードテックは安川電機にとって主力市場そのものではありませんが、

半導体
EV
物流
食品
農業

など幅広い分野で自動化が進めば、産業用ロボット市場全体の拡大につながる可能性があります。

フードテックでもAIやセンサー、ロボットの活用が広がっています。AIというと半導体を思い浮かべますが、その先にはデータセンターや電力、製造装置など多くの産業があります。
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注目④ レオン自動機(6272)

食品機械分野で興味深いのがレオン自動機です。

パンや菓子などを自動で成形する食品製造機械を手掛けています。

食品工場でも大きな問題になっているのが人手不足です。

そこで、

人手不足
↓
食品工場の自動化
↓
食品製造機械

という非常に分かりやすい流れがあります。

今回のロードマップでは、食品機械だけでも約1.2兆円の官民投資が想定されています。

植物工場などと比べて、すでに存在する食品工場の省人化・自動化需要を取り込める点にも注目です。


注目⑤ 鈴茂器工(6405)

もう一つ食品機械で面白いのが鈴茂器工です。

「寿司ロボット」などの米飯加工機械で知られています。

スーパーや外食産業でも人手不足が問題になっています。

これまでは人が行っていた、

炊飯
成形
盛り付け
調理

などの作業を機械化できれば、省人化につながります。

フードテックというと未来の技術というイメージがありますが、こうした身近な自動化もフードテックの一つと考えられます。


注目⑥ 不二製油グループ本社(2607)

設備ではなく、「食べ物そのもの」を変えていく会社として注目したいのが不二製油グループ本社です。

同社は大豆などを使った植物性タンパク食品を長年研究してきました。

世界人口の増加などによってタンパク質需要が増える一方、畜産には大量の飼料や水などが必要になります。

そこで注目されているのが、

植物性タンパク
培養肉
精密発酵

などの新しい食品です。

今回のロードマップでも、新規食品には約1兆円の官民投資が想定されています。

短期というより、長期的なフードテック市場の成長を見るうえで興味深い企業だと思います。


フードテック関連企業を整理

ここまで紹介した6社に加え、フードテックとの接点が考えられる企業を含めて12社に整理すると、次のようになります。

企業コード関連分野
シンフォニアテクノロジー6507植物工場・自動化
荏原製作所6361ポンプ・水循環
大気社1979空調・環境制御
大和ハウス工業1925植物工場・施設
安川電機6506ロボット・自動化
ミスミグループ本社9962FA・機械部品
レオン自動機6272食品製造機械
鈴茂器工6405食品自動化
ニッスイ1332養殖
極洋1301水産・養殖
不二製油G本社2607植物性タンパク
伊藤ハム米久HD2296新規食品・培養肉研究

※「フードテック関連」であることと、実際にフードテック事業が各社の利益に大きく寄与することは別です。投資判断では事業規模や収益性の確認が必要です。


「9.7兆円」だけで関連株を買うのは注意

ここは大切だと思います。

ニュースで、

「政府が9.7兆円投資」

と聞くと、関連企業の株を買いたくなります。

しかし9.7兆円が、そのまま上場企業の売上になるわけではありません。

さらに2040年度までという長期の話です。

重要なのは、

政策
↓
実証実験
↓
設備投資
↓
受注
↓
売上
↓
利益

まで実際につながるかどうかです。

「関連銘柄」というだけではなく、実際に受注や利益が増えているのかを決算で確認する必要があります。

もっとフードテックについて知りたい方へ

今回フードテックについて調べてみて、「食」という身近な分野にもAIやロボット、植物工場など多くの技術が関係していることが分かりました。

もう少し詳しくフードテックの未来を知りたい方には、『フードテックで変わる食の未来』も参考になります。2040年の食産業や、AI・植物工場などについて紹介されています。

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まとめ|「食」から製造業を見ると面白い

今回フードテックについて調べてみて面白かったのは、食品会社だけの話ではなかったことです。

植物工場なら、

植物工場
→ 電力
→ 空調
→ ポンプ
→ ロボット
→ AI

陸上養殖なら、

陸上養殖
→ 水処理
→ ポンプ
→ センサー
→ 飼料

食品工場なら、

人手不足
→ 自動化
→ ロボット
→ 食品機械

と、さまざまな産業につながっていきます。

以前、AIについて調べていると、

AI → データセンター → 電力 → 銅

と関連する産業が次々と見えてきました。

フードテックも同じです。

食料安全保障 → フードテック → 植物工場・陸上養殖 → 水・電力・ロボット・機械

と考えていくと、普段とは違った視点から企業を見ることができます。

今後は今回取り上げた企業について、決算や業績、フードテック事業の具体的な取り組みまで、もう少し詳しく調べてみたいと思います。

最近は一つのニュースから関連する産業をたどって企業を調べることが増えてきました。AIについて調べたときも、AI→半導体→データセンター→電力→銅と、さまざまな産業につながっていきました。
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参考資料・公式サイト


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